校長先生の部屋

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埴生小中一貫校 大田 誠校長先生

 新しい年度が始まりました。埴生小中一貫校では、今年度も地域とともに子どもたちの学びを確かに,そして豊かにしていく一年にしたいと考えています。

 さて,皆さんは小学校1年生の国語に登場する「おおきなかぶ」という物語をご存じでしょうか。おじいさんが植えたかぶが大きくなり、抜こうとしますが、ひとりでは抜けません。おばあさんを呼び、「うんとこしょ、どっこいしょ」。それでもかぶは抜けません。それから、孫を呼び、犬を呼び……と、みんなで力を合わせてがんばったことで、ようやくかぶが抜けました。
 このお話のように、一人では難しいことでも、友だちや周囲の人と協力すれば、きっと乗り越えることができます。そして、もう一つ大切なことがあります。それは「ねばり強くあきらめないこと」です。何度も挑戦し続ける中で、仲間の存在や自分の力を信じてやり抜く心が育っていきます。これこそが、本校のコアバリュー(行動指針)である「私にできることはないか」という姿勢につながっているのです。
 今、学校は現代的な様々な課題に直面しています。その一つが人口減少社会。かつて埴生中学校は700人規模の大きな学校でしたが、現在の生徒数は84人。実に7分の1以下の小規模校となっています。けれども、だからといって学ぶ内容を「やせほそらせる」わけにはいきません。少人数であっても、いや、少人数だからこそ、一人ひとりが多様な人と関わりながら、豊かに学び成長していけるカリキュラムがあるはずです。
 本校では、「学校を核とした地域づくり」を推進します。地域に支えられ、地域とともに生きる学校。その在り方こそが、私たちの“パーパス(存在意義)”であると考えています。子どもたちにとって学校が、学ぶ場であると同時に、人と人とがつながる場であり、将来の地域の担い手を育む場であると考え、教育活動を展開しています。
 実際、子どもたちが地域の大人と関わりながら学ぶ機会を多く持つことで、そうでない子どもたちに比べて自尊感情(自分を大切に思う気持ち)を3倍以上高めるという研究結果もあります。地域の一員として温かく見守られ、必要とされる経験は、子どもたちの自己肯定感を支え、将来への希望や意欲を育てる土台となるのです。

 30年後、このまちを守っていくのは誰でしょうか。
 そう、それは今、私たちの目の前にいる埴生っ子たちなのです。
 だからこそ、私たちは今、彼らにとって必要な学びを問い続けます。地域の知恵を生かし、大人が手を取り合い、子どもたちの可能性を引き出す学びを共につくっていきましょう。今年度も、皆さまの温かなご支援とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

令和7年4月
山陽小野田市立埴生小中一貫校 
校長 大田 誠
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